障害児、療養児(病児)と健常児の統合保育を行う横浜市鶴見区の保育園

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新年おめでとうございます。
子供達と共に、無事新しい年を迎える事ができました。今年も皆でたくさんの経験を積み重ねていけるといいなと思っています。

さて新年はじめにご紹介するのは、いるか組の雄成くんです。
雄成くんの保護者の方から文章をいただきました。
どうぞご覧下さい。


2007年1月 雄成くん

雄成くん雄成(ゆうせい)くんは、今日も「ぜこぜこ」しています。
なぜ、「ぜこぜこ」しているかというと、自分の唾がうまく飲み込むことができないためです。自分の唾が喉の辺りに溜まってしまい、呼吸の時に、気管から出入りする呼気や吸気と一緒に喉を上下するため、そばで聞いていると「ぜこぜこ」という音に聞こえるのです。
自分の唾も飲み込めないくらいですから、食事も普通には食べれません。このため、鼻から胃までチューブを入れ、流動食を流し込んでいます。そして、雄成くんは、自分で立つことも座ることもしゃべることもできません。そう聞くと、0才の赤ちゃんのようでもありますが、実は、身長1m、体重11Kgのもうすぐ5才になる男の子です。

こういう話を職場の同僚に話すと(雄成くんの母はフルタイムで働いています)、どう反応してよいのか困ったような顔になります。そして、「医療は進歩しているのだから、きっと治りますよ。お母さんがあきらめちゃあ、ダメじゃないですか」と言います。そう言われると、お母さんは「ちょっと違うんだなー」と思います。
だって、雄成くんは、それはもう、「完璧な子」「自慢の子」なのです。

雄成くんに先天的な障害があって、一生寝たきりだ、と主治医から説明されたとき、母は目の前が真っ暗になりました。
今から思い返してみても、その頃の記憶には色がついていません。
記憶がモノクロなのです。
ものすごく天気の良い日に、「私はこんなに沈んだ気持ちでいるのに、どうして太陽はいつもどおりに輝いているのだろう?」と、本気で不思議に思った記憶があります。
「なぜ、私が(こんな子を持つのだろう)?」と何度も自問しました。何かの罰かと思いました。一生寝たきりだと分かっている子を育てていく意味なんかあるのだろうかと思いました。一日中、てんかんで苦しい思いをして、食べる楽しみもなく、何かをすることもできなくて、そんな状況で生きていく意味があるのだろうかと思いました。

今から考えてみると、母は、能力主義にどっぷりはまっていました。他人に迷惑をかけずに生きていくのが最低ラインで、様々なことが出来る能力が高ければ高いだけ良いと思っていました。そして、知らず知らずの内に、そういう価値観で人を判断していたのです。
だから、何も出来ず、人の助けを得なければ生きていけない、ということは、価値がないことだと考えてしまっていたのです。
 
しかし、雄成くんと一緒に暮らすうち、だんだんと考え方が変ってきました。
雄成くんは、いくら苦しくても、文句も言わずに、ただひたすら一生懸命生きています。
あきらめたり、手を抜いたりすることなく、ひたすらに生きているのです。
そんな姿を見るにつけ、「さて、私は?」と思うようになりました。
私は、雄成くんほど一生懸命に自分の人生を生きているでしょうか?
この考えは、雄成くんをカンガルー統合保育園に預けて職場復帰をしてから、より強くなりました。かわいい雄成くんを預けて働くのだから、雄成くんに恥じない仕事をしたい、と強く思うようになりました。
でも、帰宅して、雄成くんを抱っこすると、「ああ、やっぱり雄成くんにはかなわないな」と思います。

雄成くんカンガルー統合保育園には、現在6名の障害児がいます。
そして健常の子も一緒に生活しています。
障害児の親にとっては夢のような環境です。しかし、健常のお子さんにとっても、成長の糧になるような、そういう価値観が形成されるのではないかと思います。
最近は、いじめだの自殺だの、悲しいニュースが相次いでいます。
たった少しの違いから、いじめにつながっているようです。
人の多様性を認められない子(と大人)が増えているのだと思います。
その点、カンガルー統合保育園に通ってきていれば、何しろ、雄成くんのような寝たきりのお友達もいるぐらいですから、「いろんなお友達がいて、それが普通なんだ」という認識が形成されます。そういう子なら、将来、人の多様性を認められるような懐の深い人になると思います。
そして、障害児に密接に関わってくれる子なら、一生懸命生きること、が当たり前だと感じてくれるかもしれません。こういう人生観は、頭で学ぶのではなく、小さいうちに体で学んでいくものだと思います。

障害児は、何も出来ないのではありません。
障害児は、何も言わなくても、周りの人の精神の真髄に語りかけ、周りの人の生き方を変えていきます。
雄成くんは、一生懸命生きている「自慢の子」であり、そんなことが出来る「完璧な子」です。

カンガルー統合保育園の先生方には、いつも感謝で頭が下がる思いです。
全国に先例の無い中、様々なことを実施して頂いています。
先頭を行くのは、とても勇気のいることだと思います。
そして、重症の障害児も健常の子も一緒に育って心と体のふれあいの出来る、カンガルー統合保育園のようなところが、もっともっと、全国各地に出来ることを願います。

長文のところ、最後までお読みいただき、ありがとうございました。


雄成くんのお母様。心にしみこむ文章をありがとうございました。
雄成くんが入園して1年9ヶ月が経ちました。初めの頃、私達はまさに手探りでした。
どうしたら苦しくないの?何をしたら楽しいの?この熱はすぐ下がる?この咳はすぐ止まる?・・。とにかく先が読めずわからない事だらけで不安でした。お仕事の保護者の方に何度も早退してお迎えに来て頂きました。(早退というのは、私達にはぎりぎりでも。保護者の方にはいつも理不尽なことです。)

ふと気がつくと、わずかずつですが、何となく何かがわかるようになってきました。とても抽象的なのですが、一緒に日々を重ねてきて、雄成くんも環境に慣れ、私達も雄成くんに近づけた気がします。早退してお迎えに来て頂く事も殆どなくなりました。
好きなブランコの揺れ方、興味ある香り、嫌いなのは冷たい感触・・など少しずつ好みも知れました。

雄成くんのお母様はいつも「あっはっは!」と笑っています。お父様はお迎えの時。欧米の様に雄成くんを厚く抱擁します。弟くんはお家で雄成くんに「あんぱーんち」をしたり、おでこに積み木でごちっとしたりします。「にいに」と弟くんが呼ぶと雄成くんは、にっこり笑って声のする方を向きます。
ご家族はいつも暖かく、日だまりのようです。
子は親の鏡。保護者の方が暖かく且つ、一生懸命生きている姿を雄成くんも弟くんも見ているのでしょうね。

そんな姿しか見た事のない私達。お母様の文章を読み、決して初めから笑顔ではなかった事を知りました。どれだけの想いを重ねて今を生きられているか・・を知りました。
この事は、雄成くんの保護者の方だけでなく、今まで文章を下さった皆様それぞれにあることでしょう。
このコーナーを読んで下さっている方の中には、今まさに色の無い時を過ごされている方がいるかもしれません。その只中では、どんな励ましの言葉も通り抜けてしまうかもしれません。しかし、もしかすると、いつか記憶に色がつき、たくさん笑える日が来るかもしれません。かすかでも希望が生まれる日が来ると良いな・・と思いました。

先日雄成くんのお母様とこのお話をしました。
お母様は「(只中にいる方々に)一人ぼっちだ・・と思って欲しくない。たくさんの人の手を借りて欲しい。一人で背負わないで欲しい。笑える日はいつかきっと来る。」とおっしゃっていました。

そして私達カンガルー統合保育園が出来ることは・・。
深くて遠い「ちょっと違うんだなぁ」という事を、「おなじだね」と思えるような輪を少しでも広げていきたいと思っています。私達の出来ることは、小さく少ないかもしれません。しかしいつか雄成くんに胸を張って「一生懸命生きています」と言える様になりたいと思います。

さて来月は「統合」についてのお話です。
健常の子ども達はどのような思いで障害のあるお子さん達と関わっているのでしょうか?
ぜひご覧下さい。

このコーナーへのご意見ご感想を是非お寄せ下さい。
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